今日の1枚: セリャランスフォス 滝の裏
相変わらず、無駄に早起き。帰国前日に必ず予約してください、と、旅程表にあったので、朝6時前に明日の空港まで行くFLYBUSバスのためのホテル⇔バス乗り場のピックアップバスの予約をしにフロントへ(ややこしいな)。基本、心配性というか、余裕がないのが嫌いなので、1本早いバスを予約。4時35分てっ(笑)。
6時前に行くのは、老化現象的早起きの暇つぶしという理由ではなくて、アイスランドは早朝便が多いので、その時間を過ぎるとチェックアウト客が多くって、超急いでるわけではないのにフロントのスタッフの手をわずらわすのは申し訳ないという理由(夕方以降はアルコール注入で人として私がダメなので)。
本日はパッケージツアーの日程としてはフリーなので、こちらに来てから申し込んだオプショナルツアーに参加する。出発前からわかっていたことなのだけど、冬でシーズンオフにつき、催行されているツアーの数自体が少ない。
これが土日であればまだもうちょっとツアーも多いけど、さらに、冬、平日、ゴールデンサークルには別のツアーで行く、という状態ではオプショナルツアーの選択肢はほとんどない(個人でチャーターしてアレンジする手はあるけど)。もちろん冬なので氷河のツアーはないし。
スノーモービルも捨てがたいが(万が一のため国際免許を取得して行ったけど)、行き先がまたゴールデンサークルじゃあつまらないし・・・ということで、「スーパージープでソルスモルク」というツアーを性懲りもなくIE社に申し込んだ。
と、書くとなんだか後ろ向きな理由で選んだように思えるけど、こちらに来てから、スーパージープで観光する人たちを何度も見かけてちょっとうらやましかったし、出発前から「これ気になるけど、行けるかな?」と思ってたうちのひとつだったので、多分もうここに行く運命だったのだと勝手に納得する。大体、こっちの地名やスポット名は難しすぎて、「ソルスモルク」なんて覚えやすい名前ってだけでもサウンズファミリアー。 昨日より30分遅い、8時30分ピックアップ。所要時間が9時間~12時間となっていて、一体どういうこっちゃ?渋滞もなかろうに。IE社につくと、オットこのとき初めて、何回か降ろされたシティセンターがIE社の裏だということに今更きづき、新鮮にビックリしている。こっちがビックリだっつーの。
これまで同じピックアップのバスの人は同じツアーだったのに、みんないなくなった。9時を過ぎても来ないので、受付で確認するともうちょっとしたら来るよと笑っている。ほどなくしておじさんがきた。 おおっあれがスーパージープですか。あれ?すでに二人乗ってる。どうやらこのツアー、外注なのね(笑)。運転をはじめてすぐ、今度来る時とか、友達が来る時があれば連絡して、と名刺を渡される。営業に余念がなくて笑える。
ゴールデンサークルツアーも、南アイスランドを周るツアーとされているが、アイスランド全体からみるとどちらかとういうと南南西って感じに見える。今日は、やっと南のさわりあたりまで行ける、アイスランド観光文化研究所発行の小さなガイドブックのみ。これ、すごく役に立った。ツアー会社が送ってくれたんだけど、ただの50ページたらずのミニパンフなのに定価1200円って書いてある(汗)。見なかったことにしよう。
このツアー、この冬から始まった新しいツアーらしく、ネット上でもほとんど情報がない。
ええ、これでこのブログに行きついた人、ごめんなさい。先に謝っときます。
先に乗っていたのは、イギリスからきた、推定40代の仲良し夫婦。きれいな英語で、とても優しい。ソフトウエア会社のトレーナーとして世界中を飛び回っているそうで、こっちのめちゃめちゃな英語もすぐにくみ取ってくれ、わかりやすい言い回しで返事をしてくれる。た・・・たすかります・・・ 1時間ほど走って休憩。このあと店はないのでここでランチにサンドイッチとコーラとおやつを買う。アイスランドの車窓風景は、ずーーーーっと変わらないので、眠くなりがちなのだけど今日は英会話なんかしちゃったりして、なんだか楽しいぞ。
さらに1時間ほど行ったところで、道らしい場所を外れ、ここからスーパージープの本領発揮、と、その前にタイヤの空気を調整。なるほど。 ソルスモルク地区は、ミールダルスヨークトルなど3つの氷河と山々に囲まれて隠れるようにある美しい自然保護区。いくつもの小川や川を越え、石だらけの道なき道をいくので、冬場はスーパージープでしか乗り入れ出来ない場所。170種類以上の植物群や樹木、苔、シダが観測できる、と書いてある。
たぶん、夏はそうなのでしょう。冬場は氷河の雪解け水がないので川の数も水量も少なく、スーパージープの見せ場の川越えも非常に地味(笑)。いろんな植物は雪の下(笑)。
でも、この非常に「アイスランドらしい風景」を、ほぼ独り占めできると思うと、人が多い場所が苦手なわたしたちにはぴったりな場所だったりする。
30分ほど走って、氷河の一部鑑賞。普段は氷河湖なんだろうけど、今は凍ってんだか、干上がってんだか、よくわからない。ただただ一面真っ白。それもまたよし。 氷河が青く見えるのは「曇りの日」なので実は氷河観光には曇りの日もおすすめだったりする。
今日はずいぶんと晴れてているけど、あの部分は谷あいにある上に太陽が低いおかげでいつも影にあるためか綺麗な氷河ブルー。これまで2度氷河をみたけれどどちらも海から。陸から氷河を見たのはこれが初めて。
イギリス人、ここでサンドイッチを立ちかじりながら鑑賞。そう、夏ならそのあたりに座ってランチ、なんてこともできるだろうけど、普段人が入るための観光地ではないので、休憩場所なんてない。なんたって「手つかずの自然が残る場所」なんだから。
なのでもちろん、トイレもない。そろそろトイレが心配に。不用意に内臓を活動させたくないので(笑)ここでは食べないことに(岩陰がたくさんあるので男性は問題ないと思う)。 20分ほど走ってスタックホルツギャウへ。
勝手に猛スピードで川を行くのだと思っていたのだけど、アドベンチャーチックな場所ではとてもゆっくり、そろりそろり一つ一つのタイヤで足まわりを確かめるように車は進む。そりゃそうだ、ここでスピードだしたら転倒する。
ここは氷河が削った細い渓谷。足元は石がごろごろ、そして雪というよりはドトールコーヒーのクラッシュアイスのような小さな氷なので、滑る危険はない。
夏場は初心者でもトレッキングが楽しめる絶好のポイントらしい。冬も楽しい。 苔発見!おおっ!
そしてこのあたりに複数のキツネの足跡も発見!
ひさびさに生命を感じ、安心する。
氷河で大きく削られた岩肌に苔がはえ、つららが下がる、いままで見たことのない光景があちこちにみられる。ここはとても不思議な空間。
そうそう、このツアー、エイヤフィヤトラヨークトル火山とかヘクラ火山も遠くからだけど見ることができる。ハワイ島のように、メラメラドロドロしたものが流れだしているわけではないし、富士山みたいにとびぬけて高いわけではないので、「そうか、あいつが活火山か、なるほど」と確認するだけだけど(笑)。 しばらく走って、今日一番楽しみにしていたポイント、セリャランスフォスの滝へ。フォスがアイスランド語で滝の意味、なのでグトルフォスの滝とか、セリャランフォスの滝という呼び方は利根川リバーみたいな呼び方で本当はおかしいんだけど。ま、それを言うと氷河とかも全部そうだから黙っていよう。
この滝は大きな通り沿いにあってメジャーな観光スポットのためかちゃんとトイレがある。(観光地とはいえ、このときは自力できたとみられる他に1組のカップルがいただけ。彼氏がすっころんだあとだったようで、上半身がよじれて切れるんじゃないかというほど彼女爆笑中)。
ここで初めてのトイレタイム!全員滝よりトイレ優先。
アラスカでも思ったのだが、アイスランドも観光地のトイレがとてもきれい。正直、日本人は旅先でのトイレ事情に非常に厳しいと思うけど、そういうわりには日本の観光地のトイレは汚く、ペーパーもないことが多い。日本のような豪華なウォシュレットはどこにもないけれど、大切なのはそんなことじゃないと思う。
観光地のトイレを清潔にたもつための人材を確保しているのもあるだろうけど、ここには管理人もいなければカフェもお土産やもなく、まめに掃除ができるとも思えないから、一人ひとりの「公共」でのマナーの差も大きいと感じる。旅の恥をかき捨ててはいけないし、みんなが使うものはあとの人が気持ちよく使えるように整えなきゃいけないんだよ!と思う。
話がそれた、滝の話題に戻りましょう。トイレから出たら、さっそくランチのサンドイッチを一瞬で食べ、滝へと向かう。
他の滝に比べてスケールでも迫力でも見劣りするけれど、ここはなんといっても滝の裏に遊歩道があって裏から滝が見られるのがポイント。
しかし、そう簡単にはまわらせてくれない。1st step、まずは、表から滝に近づいてみる。
これまで体験したなかで凍結がもっとも激しい。滝に近付くために、なるべく雪がない土とか草の部分をぬって歩いていく日本だったら間違いなく冬季立入禁止だと思う(笑)。危ないもん。
危険なので、「勝手に見ておいで~」とドライバーは滝に近付きもしない(←ウソです(笑)。普通の道を走るようにタイヤの空気を元に戻す作業をしていた。) 2nd step、裏にまわるためにちょっと登ってみる。頭がおかしくなってるのか、この時点からテンション解放で、なにがあっても笑いぎみ。
そして3rd step、滝壺まで降りてみる。えー、激しいミストというかしぶきで濡れます。マイナスイオーンとか言ってる場合じゃありません。もちろん、上でカメラを構えている方も、濡れてます。カメラを濡らしたくない人は撮影が厳しいかも。最初はブルーラグーン用に買った防水の写ルンですで心配なくパチパチとって、でも我慢できなくなって電光石火でコンデジでも撮影。
向かって右側から入って、滝の裏を抜けて左側へ抜けると、最後はツルッツルの階段をおりる。かろうじてロープの手すりがあるのだけど、これが曲者。ロープに体重を預けると、ちょっと緩めのロープがぐらぐら動いてテンションを保つので、こちとら体のバランスをとるのが難しい。ある意味、助けのふりした拷問。ここで1名転倒(笑)。使ったことない筋肉を使うので、のちの筋肉痛の心配もあり。
車から出て、車に戻るまで、結果4名中2名がツルンと転倒、2名があやうく転倒しかけた。でも、途中で出会ったカップルのように、われわれも大爆笑。いや、笑いごとですんでよかったって話でもあるけど。
これで観光は終了。
ゴールデンサークルツアーに比べて、お土産屋さんも、カフェもないし、派手な観光スポットは少ない。けれど、真黒い石と砂の大地に氷河と雪がとけた美しい水の川が流れ、ときには一面まっ白い雪がつもり、雪化粧をしたなだらかな山々が続くアイスランドらしい壮大の景色を車窓から楽しめ、そして、ほぼ誰もいない独り占めで(5人だけど)、心行くまで氷河と向かい合いながら一面雪の大地の中に心静かに立っていられる、こんなスケールの静かな時間はなかなか味わえるものではない。
えー。で、お値段も、各種あるツアーの中でもだいぶ大人な感じで、一人27,000ISK。 団体旅行の喧騒から逃れて、半プライベートツアーと思えばこんなもんですかね。でも、このツアー私にはやっぱり参加した別の意味があったのです。それは後ほど・・・
17時前にはホテルに到着(今回初めてホテルまで送ってもらえた!)。
意外に早く帰って来れたので(そりゃそうだ、雪中トレッキングなんてできない(笑))、事前に調べて気になっていた最後の店、シーバロンに行く。ホエールウォッチング乗り場近くの緑の建物、これ以上の説明は不要なくらいわかりやすい。(実際は、レイキャビク初日にちゃんと場所はチェックしておいた)
中に入ると、屋台の串焼きのにおい。なんか落ち着くんですけど~(笑)。ここはロブスタースープでも有名だが、帆立やクジラといった串焼きも売っている。懲りずにロブスタースープ食べるんじゃ!と思うも、やっぱり一つまるまるいただく勇気はない・・・。 スープはオット用に一つ頼んで自分はオヒョウの串焼きにする。ここのロブスタースープはHumarhusidとは違って、ハーブとココナッツミルクが聞いてタイカレー風な感じ。これはこれでおいしい。
濃厚だけど海老度数がこの間より低いので大丈夫だろうと、横から味見してみる、味見してみる、で、最終的にはオットの分なのにむさぼり食う。
時間が早かったので2組入れ替わりで出て行ってからはほかに客は誰もいなかったけど、さすが人気店だけあって17時30分すぎると、観光客が次々やってきた。長居は無用なので、こちらも入れ替わりでサクっと出る。
明日は4時には帰国、景色ももう見おさめなので、港を散歩しながらしみじみ。夕陽があたって美しい。雪山と港と坂道とコンパクトなヨーロッパの街、ふとここは大好きなウシュアイアに似てるのかも、と思ってみたり。そういえば、広大大地に雪がつもっているのだけど、その感じは、新潟とか北海道のそれとはちがって、南米のパンパに雪がまぶしてあるみたいな感じだな、と思ってみたり・・・してたら、昨日のツアーで一緒だったハードロック兄ちゃんも散歩してた。狭い町なので、こういうことがあっても不思議じゃない。
さあ、今夜は最後のイベント、オーロラツアーだ。ん、ツアー? 自力でボーリング場行くんじゃなかったっけ?
そう、実はソルスモルクのツアーでオーロラの神から救いの手が差し伸べられた。車中でどこに行った、あそこはよかったよ、などの情報交換をしているときのこと、もちろん話題は「もうオーロラ見た?」に。
「いやーそれが、IE社のツアー行ったんだけど、なんか休憩長いし、バスにすし詰めだし、あげくの果てにはフラッシュとかたかれちゃって散々でしたわ」という話をしたら「ええ?オーロラにフラッシュ?信じられない。やっぱりあの話は本当だったのね、私たちがいったツアーにも、そのツアーに失望してやってきたベルギー人がいたのよ」と。
「私たちのいったツアーは本当にプロフェッショナルで最高のツアーだったわ、ジープ6台くらいでオーロラが見れる場所に行くのだけど、レイキャビクの夜景があったり、道中、フラッシュは絶対使うな、今日の感じだとシャッタースピードはどれくらいがいい、とかアドバイスもしてくれて、なにより、ツアーガイドの中に毎日オーロラのことばっかり考えてるオーロラバカがいて、サイコーなの」と。
そういうツアーもあるんだ、ちゃんと調べてくればよかった、このツアーから帰れるのは夕方だし、明日の早朝帰国するからもう申し込めないよ・・・ごめんよ・・・オット・・(涙)。
でも、ちなみに聞いておこう
日「それ、どこのツアーっすか??」
英「だからー、superjeepツアーだってば」
日「ん?これとは違うの?」
英「そう、スーパージープツアーもいろいろあるのよ。ほら、これ写真。いいでしょ?このツアーはね、このオーロラ馬鹿がとった写真も、ウェブでアップしてくれて、その日の参加者はただでもらえるの。superjeep.is ツアーよ。」
日「そうなんだー・・・ちょーいきたいーもうおそいー(うらやましー(泣))」
英「(ドライバーに向かって)あなたの会社でやってないの?」(と、聞いてくれる)
ド「ああ、やってるけど、そんなにいいやつじゃないよ」
英「あ、っそ」
会話、終了~。軽く凹む私。
次の休憩ポイントで、ドライバーが降りた時、にっこりと笑って、
英「大丈夫よ。今ネットで聞いてみたんだけど(たしかに携帯カリカリしてた)、えっと、今夜行くわよね?予約にはホテルの名前と部屋番号と名前が必要だっていうからこの休憩中にメモして教えて。」
日「あ、はい・・・・」
次の休憩で、電話をかけ、
「月曜にそちらのツアーに参加したんだけど、今、別のツアーで一緒の人にあなたのツアーが素晴らしいから紹介したわ。日本人二人よ。今日はツアー出るわよね、絶対あの、オーロラ博士(ここでは馬鹿とは言わないの車に乗せるのよ、いい、わかった?絶対よ」と強引に予約をしてくれた。
英「今日はとっても天気がいいから、私たちが行ったときよりきっとよく見えるわ」
おばさま、素敵すぎる・・・。ドライバーに気を使いながら、こっそり気付かれないうちに私たちの希望もかなえてくれた・・・。
ありがとう、涙が出そうだよ・・・。
ということで、あっという間に夜の予定が決定した。
ピックアップは20時。ドキドキだ。